サラっと読めました。本屋大賞、これかなーなんていつもの本屋さんが言うので、手に取ってみましたが、なかなかの良作です。
候補だった「教場」が私の趣味に全然合わなかったけど、こっちはまあまあ好きです。教場は冗長だしね。
まぁご存知の通り、これも本屋大賞を逃しました。まさか海賊が二連続とか思わないですよね。普通。ワンピースが流行ってるのと関係あるのかしら?
で、ランチのアッコちゃんですが、出てくる人がみんないい人で、やさしい気持ちになれます。ゆったりしているお話ですが、ページ数も少なく読みやすいのであっという間に読み終わってしまいました。
これなら正直文庫でもいいかな・・・とは思いますが、本に読みなれていない人にはちょうどいい気もします。
お話そのものは派遣社員の主人公と、年上のOLさんの友情物語?とか、人間模様みたいなものです。ファンタジーという意見もありますが、意外とリアリティがあったりもします。
確かにうまくいきすぎますが、物語はそういうもの。でも出会いから何かが起きることは往々にしてあります。そのことを再認識させるお話です。
次から次へとあらわれる登場人物、その発言や行動の端々から掴み取っていく主人公、アッコさんもかっこいいけど、主人公の観察力こそ私は見習いたいですね。
確かに結構面白いんだけど、最終章だけがイマイチなじめませんでした。ゆとり世代という差別的なレッテルを使うのもちょっと・・・。
自分は世代が違うんですが、結局のところ「ゆとり」なんて言うけれど、それ以前に会社がバブルのころのように機能していないのが大問題なんです。
それなのに「会社に来たら何でもできる新人」を求めている。そんな無茶なことを言われては新人たちもたまりません。それで「ゆとり」っていうのはなんか違いますよ。
・・・と、話がそれました。まぁそのあたりの事情にも劇中で触れているんですが、この話だけが不自然に浮いていて、違和感がありました。アッコさんも出てこないし。
あと、短編集方式にしたのはいいんですが、全体の話がぼかし過ぎて芯が通っていない感じがするのも個人的にちょっとマイナス。
もう少し前の章の人物とかが絡んで、最終的なお話につながるような感じの話が好きなので、アッコさんと主人公以外はほとんど使い捨てになるのは残念でした。
良いキャラが多いだけにね。もったいないなーと。
そんなわけで、気が向いたらご一読ください。強烈にはおすすめしませんが、ちょっとした息抜きにはいい小説です。